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教育理念と学習・教育到達目標

機械システム工学科が関わる分野は,輸送,生産,エネルギー,家電,医療福祉,建設,航空宇宙,海洋など多岐にわたり,機械系エンジニアには人間活動のあらゆる分野で科学技術的な側面からの強力な推進役として幅広い貢献が求められています。同時に,「ものづくり」という観点から人間生活に最も密着したところでの科学技術に貢献しています。このため,社会生活や環境に科学技術が与える波及効果や責任を常に念頭においた上で次世代を担う新たな製品を開発できることが求められています。自動車一つを例にとってみても,安全で快適なドライビング性能だけでなく,人間の感性を駆使した外観デザインや,排気ガスや騒音への対策および省エネルギーなどにむけた環境適合性の高いデザインコンセプトなど多彩な視点が必要不可欠となってきています。したがって,現在,機械系エンジニアには機械工学の基礎力を身につけ,グローバルな視点から機械をシステムとして統合する柔軟な幅広い素養をもち,かつ,進展の著しい科学技術の担い手として独創性・創造性を発揮できることが強く要請されています。

このように機械系エンジニアに対する社会の要請を踏まえ,本学科では,機械工学の基礎知識と,これに立脚した多岐にわたって高度に成長する先端技術を教育するとともに,技術が社会や自然に与える波及効果や社会に対して技術者が負う責任を認識させながら,国際的な視点から社会と産業の発展に貢献しうる技術者ならびに研究者を養成することを目的としています。そのために,学生個々人の個性を尊重した人格の形成を促しながら,健全かつ多様な価値観に基づいて主体的に行動できる「前向き」で「独創性,創造性豊な」人材を育成します。

上記の理念にもとづき,本学科は次に示す(1)~(5)の能力を備えた技術者ならびに研究者を育成します。

  1. 機械工学の基礎知識を有している。
  2. 多岐にわたり高度に成長する先端技術を継続的に学び続けることができる。
  3. 国際的な視点を持ち,技術が社会や自然に与える波及効果や,技術者が負う責任を理解した上で,社会と産業の発展に貢献できる。
  4. 健全かつ多様な価値観に基づいて主体的に行動でき,前向きで独創性と創造性に富んでいる。
  5. 研究,開発,設計,生産など,ものづくりの場面で実践力を発揮し,課題に粘り強く取り組むことができる。

大学及び工学部のディプロマ・ポリシー,さらに,上記の機械システム工学科の教育理念及び育成する技術者像のもと,機械システム工学科では,基盤共通教育及び専門教育を通して,以下のような知識・態度・能力を獲得した学生に「学士(工学)」の学位を授与します。

豊かな人間性と社会性

  • DP1 健全な価値観と倫理観を体得している。
  • DP2 技術が社会や自然に与える影響と技術者が負う責任を熟知している。
  • DP3 国際性を兼ね備え,他者を尊重しながらチームで問題を解決する能力を身につけている。

幅広い教養と汎用的技能

  • DP4 多様な価値観を理解でき,社会が要求する工学的問題の解決に取り入れることができる。
  • DP5 論理的思考力と理解力,および説明能力を身につけている。
  • DP6 独創性・創造性を発揮して,計画的に機械工学に関する課題を解決できる。

専門分野の知識と技能

  • DP7 機械工学の中核となる知識・概念・原理・理論を理解し,デザインに活かせる。
  • DP8 ものづくりの実践的場面で,与えられた制約のもとで機械関連の問題を解決できる。
  • DP9 高度で多岐にわたって発展する先端技術を継続的に学び続けることができる。

大学及び工学部のカリキュラムポリシーに沿って,機械システム工学科では,以下のような学生が体系的かつ主体的に学習できるように教育課程を編成し,これに従って教育を行います。教育課程の編成及び実施等にあたっては,ディプロマ・ポリシーに基づき,詳細な「学習・教育到達目標」を設定し,この学習・教育到達目標を確実に達成できるようにカリキュラムを編成します。

教育課程の編成・実施等

  • CP1 工学の基礎としての数学,物理学及び情報処理の基礎知識を身につける科目群を配置する。
  • CP2 機械工学の基礎としての力学を体得するための科目群を必修として配置する。
  • CP3 機械工学の中核をなす実践的な専門科目群を配置する。
  • CP4 開発,設計及び生産技術の基礎とエンジニアリングデザインを体得するための実験,実習及び製図科目群を配置する。
  • CP5 技術者倫理と国際性を兼ね備えたリーダーシップ醸成のための科目群を配置する。
  • CP6 最先端科学技術の教育を取り入れ,継続的な学習を促す科目を配置する。
  1. 詳細な「学習・教育到達目標」を提示し,学生がそれらを確実に達成できるようカリキュラムを構成し,周知する。
  2. カリキュラムに基づいて科目のシラバスを作成し,到達目標の自己管理を学生にも促す。
  3. 工学と社会のつながりを意識した教育を行う。
  1. 「学習・教育到達目標」の達成基準を具体的に定め,それに基づき達成度を評価する。
  2. シラバスに記載した評価基準にしたがって成績評価を行い,基準の改良にも取り組む。
  3. 定期的に外部からの評価を受け,その結果を教育改善に活かす。

本学工学部の創設は,名君上杉鷹山公が興した地場産業「米織」が礎となっており,1910年に開設された米沢高等工業学校が前身です。それ以来,本学機械系出身者は,「ものづくり」の現場で研究,開発,設計,生産に携わる粘り強く誠実で堅実な技術者として高い評価を受けてきています。このような歴史と伝統に育まれた卒業生の活躍分野に鑑みて,本教育プログラムでは,実践的・実学的教育を重視しています。特に,演習,実験,機械工作実習,設計製図,テクニカルイングリッシュなどの実技科目,およびエンジニアリング創成や卒業研究などのデザイン科目を通して達成されます。そこで,前述のディプロマ・ポリシーのもと,次の2大教育目標を掲げています。

  1. ものとの触れ合いを通して,研究,開発,設計,生産の技術を体得できる実践的・実学的な教育を行う。
  2. 筋道を立てて説明できる「理論的思考力と記述力」,自分の考えを表現し正確に伝えることができる「プレゼンテーション能力」,幅広い視野をもち他人の意見も尊重しながら判断,討議できる「判断力およびディベート能力」,グローバル化時代に相応しい「国際感覚を身につけたコミュニケーション能力」,そして既成の概念にとらわれない「創造力」を養成する。

これらの教育目標を実現するため,基盤共通教育・専門教育に具体的な学習・教育到達目標を次のように掲げています。

機械工学の基礎となる力学,および広い工学問題の解決に機械工学を応用する発展的分野についての知識を身につける。

  1. 工学の基礎力〔DP1〕: 工学の基礎としての数学(特に,線形代数学,微積分学,確率・統計),物理学,情報処理の基礎知識を身につけ,それらを応用できる能力を養う。
  2. 機械工学の基礎〔DP5〕: 工業力学,材料力学,流体力学,熱力学,運動学・機械力学などの機械工学の基礎知識を身につけ,それらを機械の解析・設計および問題解決に応用できる能力を養う。
  3. 実践的機械工学〔DP4〕: 機械工学の中心をなす以下の実践的領域の中から,自身の将来ビジョンに基づき選択した科目履修を通し,積極的な学習姿勢で専門性を高める。
    構造・材料・デザイン領域〕:
     機械材料のミクロ挙動,構造強度および振動の解析,各種機械システムの力学特性を踏まえた構造設計,および関連する分野。
    熱流体・エネルギー工学領域〕:
     熱移動および流れの精密測定や解析,エネルギーの有効利用を図るシステム,および関連する分野。
    ロボット・バイオ二クス領域〕:
     ロボットや機構の解析と設計,生体の機能解析と情報処理,それらを統合した新しい機械制御システムの開発,および関連する分野。
  4. 技術者倫理観〔DP2〕: 技術(者)のあるべき社会的責任や環境・エネルギー問題を学びながら,地球的視点から物事を考える能力を養う。
  5. 職業観〔DP2〕:
    早期から専門領域における自分の関心を見極めることによって目的意識や健全な職業意識を育み,将来の職業選択を自主的に行える能力と職業観を身につけ,社会と産業の発展に果敢に取り組む意欲を養う。

また,専門知識を多様な工学問題に応用し,解決する能力を養う。

  1. 自主的・継続的学習能力〔DP9〕:
    知識の単なる暗記ではなく,知識の本質を理解しながら自主的に学習する能力を身につけ,社会および科学技術の変化に常に対応して進展著しい最先端の分野を継続的に学習できる生涯自己学習能力を養う。
  2. 計画的遂行力とグループ活動能力〔DP6〕:
    実験,実習,演習を通して,与えられた制約の下で計画的に仕事を進め,まとめる能力を身につける。また,これらを通して友人と切磋琢磨しあうことによって,グループ活動能力,協調性,行動力,決断力,指導力を養う。
  3. 開発・設計・生産技術およびデザイン能力〔DP7〕:
    ものとの触れ合いを重視した実践的な教育を通して,開発,設計および生産の技術を身につけ,それらを利用して社会が要求する機械関連の問題を解決するデザイン能力を養う。
  4. 実験・シミュレーションの計画・遂行力〔DP8〕:
    卒業研究や実験などを通して,問題解決に必要な実験やシミュレーションなどを計画・遂行し,その結果を解析して考察できる能力を養う。
  5. 創造力,自主的行動力およびコミュニケーション能力〔DP6〕:
    卒業研究や実験・実習・演習・テクニカルイングリッシュなどにおける実践的科目を通して,創造力,構想・着想力,問題発見・解決能力を身につける。さらに,日本語による論理的な思考力・記述力,発表・討議能力,国際的に通用するコミュニケーション基礎力を身につけ,自主的かつ計画的に行動できる能力を養う。
  6. 技術者倫理と国際性を兼ね備えたリーダーシップ〔DP3〕:
    山形という恵まれた自然環境のもとで健全な価値観に基づいた技術者倫理観を体得し,外国人教員や国際感覚豊かな教員との触れ合いを通して外国語に関する教養と国際性を養い,地球的視点から多面的に物事を捉え先導できるリーダーとしての素養を養う。

以上

2017.4.1

平成28年度以前の入学者用「教育理念と教育到達目標」はこちら
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