【初めに】
9月11日(水)~9月13日(金)にかけて、日立地区、京浜地区を含む関東方面にて企業見学を行いました。今年度は学生77名と、参加者が多かったため2つのグループ(A組、B組)に分けての実施です。
【見学概要】
11日水曜日は、A組は(株)日立パワーソリューションズ 大沼工場に、B組は日立金属(株)茨城工場に伺い、各施設を見学しました。
〈A組〉
企業説明をして頂いた後、屋上太陽光発電システム、続いて、企業敷地内に設置されている直径40mの教育・研修用風力発電風車を見学しました。最後に、機械システム工学科出身のOBとの懇談および質疑応答がありました。
〈B組〉
高い情報量を送信できる産業ケーブルの製造とその検査方法などを見学しました。ワンボックスカーのドアの挟み込み防止の感圧センサーなど、付加価値の高い製品になるほど手作業が多くなっていることが印象的でした。また、お昼はOBを交えて会食する機会を頂きました。
午後からは、A組、B組が合流して(株)日立製作所 小平記念館での見学です。両組を3グループに分けて担当の方に説明頂きました。創業者 小平浪平氏の多彩な才能を示す資料や従業員のことを考えた街づくりに関する写真など展示品は多岐にわたります。
12日木曜日は、つくば市周辺にてA組は(株)小森コーポレーション つくばプラント、B組は、日立建機(株)土浦工場にて見学を行いました。
〈A組〉
最初にとても勉強になる企業説明がありました。小森コーポレーションはお菓子のパッケージから紙幣に至るまで幅広い印刷物を対象とする印刷機メーカーであり、技術と信頼をモットーとしている会社であります。企業説明の後、2班に分かれて生産ラインを見学しました。汎用印刷機の他に、普段なかなか見ることのできない紙幣印刷機の生産過程も見学できました。生産ラインは総じて高度に自動化されている一方、精度を保証するために、人間の手による微調整が必要な工程もあり、学生にとって新鮮に見えました。最後に、山大OB・OGの紹介と質疑応答があり、OB・OGの活躍ぶりおよび、大学(院)で学んだ知識や培った経験が入社後、非常に役に立ったなどの話があり、学生によい刺激を与えました。また、工場到着時に撮影した集合写真が見学終了時に早速印刷された状態で配布され、印刷機メーカーらしい演出が学生達の印象に残りました。
〈B組〉
ハイブリットの技術など、日立建機のみならずグループ内の技術で実現していることを、はじめに会社概要の説明としてビデオ上映を拝見の後、OBに引率いただき、3班に分かれて見学しました。巨大なパワーショベルが製造ラインに乗って少しずつ組立てられているさまやメインフレームの頑強さに目を見張りました。基本、溶接はロボットによるものだそうですが、細かいところは手作業もあるそうです。溶接NGの例を展示することで作業員と技術の共有を図るとのことでした。見学の後、山大工学部のOBの方々に、質疑応答に対応いただきました。
午後からは千葉県市原市に移動しての出光興産(株)千葉事業所を、A組、B組合流しての見学でした。ところが、B組は、途中渋滞に巻き込まれ、50分近く遅刻しての見学となりました。
ビデオ上映による会社概要の説明の後、バスに乗車しながら、石油エリアの見学を行いました。敷地周辺の緑地は自然の森のようになっており、キジなどの野営動物が生息するなど環境への配慮も感じられました。石油を各成分に生成する蒸留施設、シーバスと呼ばれる沖からつなぐパイプライン、タンクの整理番号の読み方など、どれも興味深いものでした。また、この時は第2桟橋に停泊中のタンカーを目の当たりにすることもできました。円形タンクや球形タンクなど用途の違いも説明頂きました。
このあと、本学科OBの方により、機械系技術者がプラント工場で働くことについて学生にもイメージできるよう、具体例を交えて説明して頂きました。
夕方には、B組はメルパルク東京にて開催された友諒会関東支部総会、記念講演会、学生後援会に参加いたしました。工藤幹事長(三機工業(株)常務取締役)をはじめ多くの先輩方から温かい歓迎を受けました。また、今回は、本学科教員 江目宏樹助教による講演(演題『ナノスケールから光と熱を操る ~ナノ粒子によるふく射熱制御~』)は、来年開催される東京五輪の熱中症対策など身近な話題から地球温暖化の話題まで、幅広い内容について研究の紹介があり、会場からの質問も絶えないほど関心を引くものとなりました。
また学生からサークル活動などの報告や入学に至った経緯などエピソードを交えた自己紹介を行いました。
13日金曜日は、A組は(株)ケーヒン狭山工場へ、B組は富士電機(株)川崎工場へ伺い、見学しました。
〈A組〉
まず、企業説明がありました。ケーヒンは国が認めた「健康経営優良法人ホワイト500」に2年連続で認定され、福利厚生が充実しており、女性にも活躍しやすい会社であること、人材育成にも力を入れていること等の説明があり、学生達に好印象を与えていました。次に、2班に分かれてガソリン直噴エンジン用インジェクター、ハイブリッド車用パワーコントロールユニットおよびカーエアコンの生産ラインを見学しました。カーエアコン製造用の大きな金型を初めて見て、驚かされた学生もいました。見学終了時に、会社敷地内に展示されているSuper-GTのそばで記念撮影をしました。
〈B組〉
会社概要の説明では、扱う製品が、半導体から発電システムまで、電気を機械エネルギに変換する装置全般を扱っていることが印象的でした。その後、3つのグループに分かれ、OBあるいはOGの引率のもと、発電機およびタービンの組立ラインの見学を行いました。
効率の高い発電機(回転子(なかご))を短い納期で完成させるためのノウハウ、タービンでの翼のはめ込み部分の形状など貴重な作業を見学させて頂きました。
【おわりに】
見学の直前には、台風が千葉県周辺に被害をもたらし、見学の実施が危ぶまれましたが、出光興産株式会社の千葉事業所様には温かく受け入れて頂きました。また、大人数にもかかわらず、(株)日立製作所 小平記念館ではきめ細かくご説明頂きました。ほかの見学先におきましてもOBやOGからの就職活動へのアドバイスを頂くなど、学生には貴重な機会であったと思います。学生からも活発に質問があり、積極的な姿勢で見学に臨めることができました。
【謝辞】
今回、見学を受け入れてくださった各企業の人事部および総務部をはじめとする関係部署の皆様、卒業生の皆様、米渓会および友諒会の皆様、大変お世話になりました。また、交通旅費等の補助を頂きました米沢工業会、工学部後援会、友諒会、米渓会、機械システム工学科に御礼申し上げます。
三年生担任:中西為雄、南後淳